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あれはなんだ かたちは無く

本当にアスペルガーは空気が読めないか?

数々の書籍、ウェブなどの解説もので挙げられているアスペルガーの特徴の一つに、「空気が読めない」というものがある。

そして、空気が読めないから周囲とも同調できず、結果的に輪を崩したり自分に自信がなくなったりして負のサイクルに陥ることが多いのだと。

はたして本当にアスペルガーは空気が読めないのだろうか?

このことについて、当事者の側から探ってみたい。

 

たしかに、アスペルガーは表情から心情を察することが困難だ。「顔は笑っているけれど本心ではそうでない」という状況など、たいていの場合不可能に近い。

だが、アスペルガーは決して、”相手には感情がない”などとは思っていない。むしろ、”相手に感情があるのに自分にはそれがよくわからない”から、どうにかして探ろうとする。

アスペルガーの人の特徴の一つ、「言葉を額面通りにとらえる」というのも、そうした心のはたらきからきている部分もあるのではないか。

そして、相手の心情を察することは難しいが、諦めてしまっているわけでもない。限られた情報の中で、何とか相手の本質を理解しようとしている。

その結果として、直接に物事を聞きすぎてしまうところが反感を買うことも少なくないと思う。

 

結論を言うと、アスペルガーは決して空気が読めないわけではない。ただ、どのような行動をすればどのような反応が返ってくるかわからないだけである。そして結果的に、相手からしてみれば不用意な質問をしたり、極度の緊張から、期待されない行動をとりがちになる。

そういった自分の性質を理解している当事者は、しばしば、パターン化して状況を一つ一つ覚える努力をしている。これは意外と一般の人には知られていない。

だが本当はこうした状況は、日本人独特の美意識に由来しているのではないか?と最近思うようになってきた。お互いが謙虚に認め合うというよりは、「私が我慢しているのだからあなたも我慢すべき」というルールの中では、アスペルガーの存在は異質すぎるのだろう。

むしろ、一つ一つの状況に誠意をもって対応し、納得しない点があれば妥協しないというアスペルガーの特徴を美点としてとらえるような社会であれば、「空気が読めるかどうか」はそもそも問題にならないのだと強く思う。