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あれはなんだ かたちは無く

アストラルパーク

きつねにつままれたような話のひとつ。

 

定期的に行く場所がある。行く、といってもこちらから行こうと思っても行ける場所ではない。しかし、「そろそろくるかな」と思ったころに行くことができる。なんとなく前兆があるんだ。

そこは、古いショッピングモールの奥だったり、神社の二つ横の細道だったり、畦道を引き返したり、とにかく細い道から繋がっていることが多い。ふと気が付くと、空が夕焼け前のようになっていて、遠くの方にぽつぽつと民家が見える。

道なりにまっすぐに行くと、球面の壁をした紺色の大きな建物が見えてくる。そこにいた人に聞くと、それはアストラルパークと呼ばれている場所らしい。何に使う建物なのかはよく解らないが、研究施設でも娯楽施設でもないらしい。中にはいくつか部屋があって、その都度使用目的は違うようだ。

広くは吹き抜けの形をしている。一階はロビーになっていて、椅子が沢山置いてある。上を見上げるとだんだん暗くなっていって、あるはずの天井がよく見えない。ここで知り合った人によると、ここは空の上にあるらしい。だからアストラルパークと呼ばれていると教えてくれた。

この場所は、僕に訪れる”邂逅”の中では人がずいぶんと多い。絶えず色々な人が行き来している。特別不思議な構造をした人はもちろんいないのだが、よく見てみると一人ひとり何かが決定的に違うことに気づく。だが、分かるのはその確信だけで、見れば見るほどよく分からなくなってくるから、何が違うのかはよく分からない。

僕に対する反応は様々だが、大きく3つに分かれる。まったく放置しておく人たち。じろじろと見てくる人たち。話しかけてくる人たち。話しかけてくる人たちはさらに2つに分かれる。1つは何語ともつかない言葉で話しかけてくる人で、1つは僕の知っている言語で話しかけてくる人だ。どっちにしても、直接脳に響いてくるように話かけてくることと、金属的なノイズの響きがするのが特徴だ。

ここで知り合った人と並んで座っているとき、いつだったか、「君は××××だから排除されないんだよ」と言われた。それは何?と聞くと、「××××の内側の××××が××××で……」と不思議な話をされた。一つ一つの用語を聞くにも数が多すぎるので、「ごめん、よく解らない」となった。よく解らないが、排除される人と排除されない人がいるらしい。気が向いたらまた聞いてみようか。