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あれはなんだ かたちは無く

些細な現象

とるに足らぬものもの。

 

10日ほど前の晩、横になって考え事をしていると、視界の端で何かが光った。目をこらすと、枕代わりのタオルの淵の方に、0.1mmほどの何かが七色に輝いている。あちらこちらで拡散した光が粒子に強く当たったんだろう。その輝きは、安心するような不安になるようなふしぎな輝き方であった。内側から、何者かが照らしかけるような、そんな輝き方であった。もっとよく見ようと思って近づくと、不意に消えてしまった。

 

今朝、寝起きで意識が曖昧なまま座っていると、足元を小蜘蛛が通ろうとしていた。ある約束により、僕は蜘蛛を殺してはならない。というか、そもそも無駄な殺生は好まない。だから小蜘蛛が向こうの方へ通り過ぎるのを黙って見守っていた。小蜘蛛は薄茶色をしていて、足は細くてほとんど透明であった。とぎれとぎれに跳んだり這ったりしていた。小蜘蛛が30cmほどの距離を移動したところで、突然その姿が消えた。