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あれはなんだ かたちは無く

~2014/04/13 夢日記

ゲームの友達とバスに乗っていた。話が盛り上がりつい終点に来てしまった、と思うと途中で終点が変わっていたようで、見知らぬ土地に来ていた。そしてバスのはずが路面電車になっていた。到着地点は八石(ましお)バス停留所という。バス停留所と言っても、バスセンターの様な場所である。仕方なしに終点で降りて友達と別れた。友達は赤いジャケットを着ていて、東方面に20m歩き、最初の角を北に曲がって見えなくなった。

空が妙に白っぽく、緑がかっていて、初夏のような空気だ。ああ、久々に心の故郷に戻ってきたんだな、と思うとほっとした。この空気は以前に夢の中で何度も感じている。僕は普段あまり現金を持ち歩かないので、運賃を持っているかどうか確かめる。相変わらず1円玉が多いけれど、運賃分の硬貨は持っていた。電車を待っていると、自宅付近が終点の電車がやってきた。これは丁度いい。

電車に乗り込んで初めて、目に入る光景がいつもと全く違う事に気付いた。まず、奥行がいつもの半分ほどしかない。壁は白とアイボリーのストライプ、赤い毛のソファ、金の丸テーブル、緑の本棚。横方面の奥の方は茶色の枠を境にして書庫になっていた。その書庫から、白髪で澄んだ眼をした、どこか日本人離れした老人が出てきた。紺と金の軍服のような制服を身に着けている。曰く、どこかの特大使を迎えた時にも使った車両であり、今日は気まぐれでこれに載せてくれるのだという。乗客は僕を含めて6人だった。長い黒髪の若い女性、中年の夫婦、などがいた。僕は乗り鉄であり撮り鉄でもあるので、写真をとっても良いか、と老人に尋ねたらやんわりと断られた。しかし、ある条件を満たせば撮っても良いらしい。書庫の奥に、風の集まる図書館へ続く道があるのだという。その図書館の館長と老人とは友人らしい。手伝いがてら、館長のいたずらに気付いたなら撮っても良いのだそうだ。

若い女性と僕の2人は、面白そうなのでこれに乗ることにした。書庫には様々な書物があった。本棚は6つほどなのだが、その上から下までびっしりと、辞書だの、日本の昔話だの、近年の漫画だの(但しタイトルが同じなだけで、装丁・書体は全く違っていた。例えばハな漫画は、厚さ5cmほどあり、つやのある材質のハードカバーで、ややにごった風合いのマーブル模様で、筆で書いてまるめたような書体で背表紙にのみタイトルが書かれていた)が収納されていた。

そのまま本棚沿いに進み、気付くと図書館のエントランスに立っていた。ああ、ここは。なんだ、ここは夢の中で何度も訪れた図書館だ。裏側で、個人邸に仲の良いオタクなオネェがカフェを経営していたり、地下に猫の交換所が存在していたりする奇妙な図書館だ。と考えていると、館長が現れた。館長は、一言で言うとアラビアンナイトに登場しそうな年齢不詳の中年男性で、ややメタボリックで身長が高く(推定185cm)、皮膚が浅黒く、紫のマントを着込み、いつもにやりと子供っぽい笑いを浮かべている。映画「コンスタンティン」に登場するルシファーの雰囲気にそっくりだ。今にもステップを踏みそうだ。

ここで思い出したのだが、以前にも館長のいたずらに付き合ったことがあったなぁ。今回もやはり同路線で、「館内のあちこちにしかけたいたずらに、今日中に6つ気付いてみよう!」らしい。ぼんやりしながら僕はいたずら探しをはじめた。しかしここはまぶしい。明かりらしい明かりは無いのだが、常に下以外の全方向から照らされているようなのだ。熱はない。館内に住んでいる人々が(そう、かなりの人数が住んでいるのだった!)自然界のリズムを忘れないための計らいらしい。僕は元々昼間は頭が上手く働かないので、ふわふわと歩いていた。仕方がないので、最初は散歩するくらいの気持ちでいいや、というか本気で遊ぶけど勝負に絶対勝つ気はないしなぁ。館内は白とたまの水色でまとめられていて、天井がとにかく高い。1階層の間に、さらに細かく何階層もあるような、吹き抜けの連続のような構造だ。館長はペンギンが大好きで、いたるところにペンギンのオブジェが並んでいる。1つのオブジェを回すと「大掃除をやりましょう!」なんてアナウンスが飛び出してびっくりしたり。引き棚がところどころ錯乱していて、その1つに壊れた時計仕掛けの置物が置いてあった。他にもペンギンのオブジェやグッズを見たりしていると、当初行動を共にしていた若い女性と再会した。彼女はめったに笑わずつんとした表情をしているが、悪い人ではない。二人で休憩していると、目の前の本を見て彼女があ、と言った。本の表紙の文字は、見たことのない文字…だと思ったのだが、これは日本語の「まきようこ」であるらしい。正しくは、それらをひらがなと片仮名にし、ところどころ歪ませて、上下左右反転してあった。言われてみたら確かにそうだ、やられたなーと思っていると館長がどこからかステップしてきて、おめでと、1点、とささやいた。それを聞いて彼女がギャーと騒いでいると、館長が舌打ちして、喧しいよ。減点、とささやいてステップでどこかへ消えた。

僕がぼんやりしている間にようやく日が沈んできた。そうだ、ここの屋上はテーマパークになっていて面白いんだっけ、ということを思い出してエレベーターで屋上に向かう。エレベーターとその周囲は透明になっていて、各階が良く見える。2階はここの職員達の休憩所になっていて、照明が一段と暗い。雑魚寝をしていたりカウンターで酒を飲んでいたりしているようだ。屋上に到着したが、どうやらテーマパークは工事中らしい。水色の覆いがかかっており、手すりで制限されている。どこからか隙間風が吹いてきてどうにも寒い。隅の方で星の青年が歌を歌っていた。2人で毛布にくるまって星のことを話していた。ふと上を見上げると、ミッドナイト・ブルーに派手な横断幕が見える。目玉の風船に、赤と白のストライプに、「愛について」と書いてある。ああそういえば以前も横断幕を飛ばしていたなぁと思いつつ、青年にあれはねぇ、ここの館長のいたずらなんだよ、と説明し、せっかくなので愛とは何かを語っていた。するとどこからか館長がステップで現れ、いいぞ!もっと!1点ね、とささやいて夜空に消えた。

だいぶ冷えてきたので僕は屋内に撤退した。そして、久々に友人を訪ねることにした。その人はサブカルチャー系オタクなオネェで、この図書館の裏側でカフェを経営している。裏側に行くのは簡単だ。道を裏向きに、つまり後ろ向きに後ろ方面に歩けばすぐに付くのだ。煌々とした明かりに目の前をみれば、そこはもう裏側の入り口だった。入り口の横には、猫の交換所の看板が出ている。怪しい目つきをしたデフォルメの黒猫が、黄色い背景に浮かんでウインクしたりあくびしたりしている。交換所は今日、つまり木曜日だと、深夜3:00~開いているらしい。さっきの壊れたおもちゃは持ってきたけれど、館長の言う今日中っていつまでかしら。などと思いながら、正面の階段を上る。数段上ってUターンすると、向かって後ろ側にはまだまだ階段が続いており、左側には件のカフェがあり、右側には占い屋があり、奥にもまだまだ続いている。小さな電球が黄色い光を放っているが、遠くはあまりよく見えずに闇に沈んでいる。ここでもう友人は僕の訪問に気付いたらしく、「いらっしゃ~い」と声が聞こえてきた。カフェの入り口は、胸ほどの高さに直径25cmほどの穴が開いている。後から良く考えれば疑問なのだが、なぜか毎回特に何にも思わずそこをくぐって入店する。店内は白とパステルカラーでまとめられている。相変わらず、床には漫画だのアニメのDVDだのが散乱している。近況とか館長との事を話したり、この夢世界のことを話したり、(友人はもう長い事戻っていないらしい)いわゆる現実世界の近況を話したりしていると夜が明けていた。少し興味があったので、友人と外に出て、薄暗い明け方から朝焼けまで、ぼんやりと図書館が照らされ影が浮かび上がる様子を見ていた。図書館の周囲は一見どこまでも続く砂漠の様で(以前僕が館長から聞いたことには、ここには歩いたり車に乗ったりして来る人はいない上、簡単にアクセスされては困る場所なので、この立地は最適らしい)、所どころ小高い丘の様になっている。僕達はそのうちの1つの丘の上に並んで座り、図書館を見下ろしていた。図書館の形状は変わっている。奥に長細い板の両側に、薄い曲線を帯びたエッジがおおっていて、全体的にシルバーの様な水色のような淡い色で、金属的な艶や輝きがある。陽が当たっても、普通の反射の仕方や影の作り方をしないので、影ができなかったり、いきなり輝きだしたりする。その様子は予測もつかないし、見ていてとても面白い。

結局僕の点数は、猫の交換所に行ったりいたずらを見つけたりして、5点ほどだったと思う。ペンギン関係2つ、横断幕が1つ、直後に何かが1つ、交換所で直してもらったおもちゃが1つ、あれもう一つ何か見つけたような。じゃあ6点?どっちにしろ、ここからは記憶が曖昧だ。というより、現実世界での約束がいくつかあったので最後の方はバタバタと別れを告げたような気がする。まぁまたそのうち会えるだろう。