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あれはなんだ かたちは無く

フォームと音色の大改造

ギターと喧嘩して数日。理由はいつもと同じ、「音が良くない」。しかしながらやはりギターを何日も弾かずにはいられないもので自然に仲直り(多忙な生活に少し休みが出来たからというのも大きい)。

さて、確かに僕のギターは設計的に色々難があるため、一般的な基準で言って音が良くないのは事実なのだが、本当にそうなのだろうか?

少なくとも7割はこの子の力を引き出せている自信はあるけれど、それでも完璧ではない。というのも、うすうす自分のフォームの癖や、フォーム研究のツメの甘さを実感していたのだ。

どうも試奏してもどことなく、10%ほど僕の音色は似通っている。演奏する人が同じだから、と言わせればそれまでだが、いわゆるアコギの音とはちょっと違うのだ。ただどう違うのか表現しがたいうえ、フォームに大きな異常は認められないため、ないがしろにしてきた。

思い立ったが吉日、とことんフォーム研究をしてみる。あらゆる角度、面積、速度を試し、それらの倍音構成や共鳴や板振動を感じ取りながら、その作業を黙々と繰り返すのだ。その結果として、原因を突き止めることができたし、完全ではないものの癖は取り除かれつつある。おまけに付随効果として、予期せぬ効果をも得ることができた。

以下はそのまとめ。

 

○ギターを抱える姿勢の問題

基本的には、件の“3点固定”(これは以前メモした)と大差がない。しかし、以下の二点を変更するとプレイアビリティが大きく向上した。

1.右肘を強く固定する→てこの原理で、より軽い力で強固に固定。棹もほとんど動かない。

2.表板をもっと自分より遠くに向ける→知らぬ間につい傾けがちだった。これでは振動構成を感じづらい。

(注.振動構成…ギターのどの部分がどのように振動しているか。これを即時に体感することで、伝達効率を推測し、演奏の細かい調整に役立てることができる。)

 

○右手のフォームの問題

大きく分けて2点。

1.右手の形をクラシックギターのフォームとほぼ同じにした→以前は、ゆるく握りこんだ形。これだと、自然と「爪弾く」ようになり音のハリが弱くなるのである。そこで、指の関節に頼らず、手を握る力で弾くことで、ハリが強く伝遠性に優れる音色に近づけることができる。

2.指先で弾く→それまでの僕の右手のフォームとも関係があると思うが、今まで僕は肉(爪と肉のついているところから~6mmくらい)で弾いていたが、より指先(3mm前後)で弾くことで、倍音構成が大きく変わり、僕の求めるアコギの音に近くなった。

 

○予期せぬ効果

フォームを変えたことで、今までよりも少ない力で弾くことができるようになった。また、指先で弾くので、弦離れが良くなり指さばきが楽になった。結果として、

1.僕はたまにもたついた演奏をすることがあったが、それが払拭された。

2.音色に強弱を付けて演奏することが容易になり、ギターを歌わせやすくなった。

3.テンションが相当緩くなったように感じられる。僕の基準では、クラシックギターの緩さに迫る勢い。(今のギターは相当テンションが高い…ってことは、あのクラシックギターはテンション高めだったのかもれない。)ナットもサドルも(主にClarenceのために)未調整だけど、これで高さを削ったらどんだけ緩くなるの。ただの気のせいかもしれないけど。

 

一言でいうと、「どんだけ力んでたんやねん」。あと、ギターにも申し訳ない…ほんの少々だけ。まぁ、相変わらず癖は少し残っていて、完全に抜ける気はあまりしない。良いようにとらえれば、低音弦と高音弦の響きがかなり違うのでソロギターをやる上で有利だと言えるし、ある意味これは「僕の音」なのかもしれない。